「人としての器」に関する研究成果を紹介し、対話形式でその理解を深める「いれものがたり」を始めて数カ月が経ちました。
運営をする中で参加者の皆様の積極性に助けられるとともに、率直な意見交換を通じて「人としての器」の奥深さを再認識しました。
また、同時に「対話」の価値について、あらためて見直す機会にもなりました。
「人としての器」を頭の中で理解したとしても、それが必ずしも実践につながるとは限りません。
その理由は、そもそも「人としての器」という概念が、他者と関わり合う現実の中でこそ成り立つものだからです。
他者と接したり自己表現をしたりするという対話のプロセスを通じて、私たちの「人としての器」が具現化するのです。
そこで、今回の記事では、「いれものがたり」が提供する対話という価値について言語化していきたいと思います。
自分の器を知る―「ありのままに話す」という実践
他者に話をするという行為は、無意識のうちに、私たち自身の人間性を映し出します。
とりわけ自分のことを内省的について語る際には、同時に自己理解が求められるため、より深い自分らしさが表出されることになります。
この実践に際して、以下のような問いが立ち上がってくるでしょう。
どれほど深く自分を理解しようとしているか、その自分をどのように表現するのか、聞き手の立場をどのように考慮して言葉を選ぶのか、自己開示する際の自身の感情にどのように向き合うのか――。
ありのままの自分について話をするという姿勢にこそ、自らの器が現れてくるのです。
他者の器を知る―「真剣に聴く」という実践
他者の話を聴くという行為もまた、自身の人間性を反映します。
また聴くことによって、自己と他者の違いが明確になり、さらに自己理解を深める機会となります。
ただし、他者の話を真剣に聴くということは、想像以上に容易ではありません。
相手の言葉に隠れた背景に気づけるか、相手の話を広い心で受け止められるか、相手が安心して話を続けたくなるようなリアクションができるか、自己中心的にならずに相手を支えるようなコメントをすることができるか――。
こうした細かな態度の一つひとつに、自身の器が投影されるのです。
自分らしい器の物語がある
人としての器を磨いたり、大きくするための絶対的な方法や万能薬は存在しません。
それは、それぞれの人が自分ならではやり方で独自の器をつくっているからです。
そして、その器を磨き、大きくするのは、ほかならぬ自分自身の努力と行動によります。
「いれものがたり」は、皆さんの器が必ず大きくなることを保証するものではありません。
ここでは参加者の皆さんに自分らしい器を磨き、大きくするための場ときっかけを提供するだけです。
自分の器の物語をつくるのは、ほかならぬ自分自身です。
自分らしい器をつくりたいという意思を持ち、実際の行動として移さなければ、決して理想の器はつくれないのです。
まとめ
過去の記事を読んでいただければ、「人としての器」という概念の輪郭をおおむね理解できるかもしれません。
しかし、それだけでは不十分です。
単に文章を読んだりや動画を視聴したりすることで得た知識だけでは、人としての器の成長にはつながりません。
器の成長は、他者との実際の関わり合いを通じた実践によって初めて可能になるのです。
そして、そのファーストステップとして「いれものがたり」という対話の場があります。
ぜひ「いれものがたり」の機会を活用し、自らの器をつくる一歩を踏み出してみませんか?
初めての方も大歓迎ですし、二回目以降の方でも、何回参加しても新たな学びがあるワークショップですので、お気軽にご参加いただけますと幸いです!
より詳しく「人としての器」を学びたい方は、金曜の夜は”いれものがたり”にご参加ください。
これまでの研究成果のエッセンスを紹介し、対話形式で理解を深める入門版ワークショップです。